2024/08/31

NAKED LIGHTS - 『ON NATURE』(2016)

 NAKED LIGHTS - 『ON NATURE』(2016)

・A1: New Carrion
・A2: Pictus
・A3: On Nature
・A4: Leiden Si Nicht
・A5: Hedges
・A6: Mechanical Eye
・A7: Blue Ink
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・B1: Mostly Bag
・B2: Pool on a Plate
・B3: Clock Support
・B4: Silhouette
・B5: Barrel
・B6: Peep Hole
・B7: Trepanning
・B8: Undo

- Format: VINYL (12inch), CD

- Label: Castle Face Records (California,US)

 米カリフォルニア州オークランド発ポスト・パンク5人組の2ndフルアルバム。リリースは同じくカリフォルニア州サンフランシスコ出身のガレージ/サイケデリックロックバンド Osees (Thee Oh Sees, Ohsees, The Oh Sees等変名多数)を率いるJohn Dwyer主宰のCastle Face Recordsから。

 アルバム全体を端的に表現するならば "DIE! DIE! DIE!" meets No-Wave。"DIE! DIE! DIE!"初期の、殊にその1stアルバム (録音スティーヴ・アルビニ)が持つむしろハードコア・パンクにこそ接続する制御不可能的性急さという骨組みに、自己の内面を一心に凝視し続けるポスト・パンクの不穏な情動や緊迫がへばりつく。バンドを支えるより寧ろ無邪気に引き連り回したいのだと言わんばかりに突んのめって高回転で駆動し続けるドラムはMatt・Tong (ex: Bloc Party)すら彷彿とさせるが、他ならぬ知性と自制の効いたエモーションを以てドラミングする彼に対して、一方はまるで疲れ果てるまで止まることの出来ない注意欠陥及び多動の幼年期らしさもある。
 不協和が時にユーモラスですらあるNYアンダーグラウンド的抽象が塗り込められた音像、少々強引で明からさま過ぎる程の民族音楽の引用はMUTE (the pop group)やPiano (this heat)のさりげなさではなくSSTやエニグマのバンドと近似する。

 この2ndアルバムのリリースは'16年1月末頃。同年8月には個別のシリアル番号を付与した8曲入りカセットテープ『BROW BEAT』を限定30本程度リリースしたが、そちらは無秩序なまでにフリーキーかつ身体的なビートとフリージャズ・ノイズ等現代音楽的不協和こそが遂にもたらす筈の調和を追求した果て、その残骸かのようにロウで無愛想にささくれ立った音像である。合奏の間隙、向こう岸から冷やかな切れ目を入れるが如く突き刺さるインプロヴァイズのギター・フレージングはJames Chanceのサックスがそのままソリッド・ギターに成り変わったような苛烈さを以て、消耗し屑折れる最後の一瞬へ向け消失点を睨みながら疾走、偏執的にバンドを追い立て続けている

 ヴァイナルは既に売り尽くしたようだが2024年現在、米サンフランシスコのディストリビューター Mildheaven のWebサイトでCDを購入可能。(私はCDを買った。)

・Mildheaven: https://www.midheaven.com/item/naked-lights/on-nature-by-naked-lights
・Bandcamp: https://nakedlights.bandcamp.com/album/on-nature