2024/09/16

griver - "S/T" (1997 or '96)

griver - "S/T" (1997 or late '96)

A1 the letter I never had
A2 the underscoring of necessity
A3 scouting, may 8th
A4 graduate
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B1 building blocks
B2 song for chris
B3 scaling montana
B4 to you...

・Label:
VINYL: 
Tyle-Vora Records (wilmington, North Carolina)
CD: 
Point The Blame Records (Quebec, Canada)

 90年台中後期の米ノースカロライナ州ウィルミントンのバンド・griverの1stフルアルバム及びセルフタイトル。
(画像2枚目は1997年または'96年リリースのCD版の背面。彼らは2曲収録の7インチシングルやthe exploder等とスプリットをリリースするなどしていたが、フルアルバムはこのセルフタイトルが最初にして最終作)

 griverはハードコアパンク及びエモ・スクリーモの中でもその陰鬱さによってのみ自己を規定しているようなバンドであり、当時ですら早くも遅くもない中途半端なスピードで暗く重苦しいサウンドをアルバムの始まりから終わりまで鳴らし続ける。サウンドはザラっとして乾いているが1曲目『the letter I never had』が絵葉書のモチーフによって表現しているように、詩情は心の中にジメジメと吹き溜まってやがて腐り始める内心をじっと凝視しながら呪詛のように吐き出す。外気のそっけなさと対照的に内面では動揺や虚しさがグズついているそのような情感は1曲目のタイトルが連想させる『大佐に手紙は来ない』(ガルシア=マルケス)や、内面の最も畏ろしいものを捉え詩で表現することに生涯を費やしたディキンソン等近代米文学と同質の不穏に包まれているが、先天的に信仰を内在するこれら文学との決定的な違いはハードコア・パンクが神を持つこともまた生得的に、自明に起こり得ないことである。

 作品らしくすること、作劇装置的にエンディングを演出するための技法ではなく、ただそこにあってひたすらにリアルでシリアスでしかない後悔/自嘲/諦観/憤りと憂鬱が解決することなど決してないままアルバムは自己破壊的に文字通り終わっていく。
 このような絶望的ムードはアメリカ東南部の果てのバンドであったgriverとは真逆の西海岸側、カリフォルニア州ゴリータ(Goleta)のインディーレーベル・Ebullition Recordsのリリースがドグマの如く備えているものだが、楽曲毎のスピードやテンションには大きな緩急をつけず一貫してミドルテンポであることがやがて齎す耽溺するような陶酔が、具体的にはjuliaを想起させる。

 このバンドでギターボーカルを執ったのがDave Laneyであり、その後の彼は有名どころで云えば2000年頃sleepytime trioに参加するBen Davismilemarkerを結成、その2016年作でもmilemarkerのメンバーとしての彼の演奏が聴ける。


2024/08/31

NAKED LIGHTS - 『ON NATURE』(2016)

 NAKED LIGHTS - 『ON NATURE』(2016)

・A1: New Carrion
・A2: Pictus
・A3: On Nature
・A4: Leiden Si Nicht
・A5: Hedges
・A6: Mechanical Eye
・A7: Blue Ink
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・B1: Mostly Bag
・B2: Pool on a Plate
・B3: Clock Support
・B4: Silhouette
・B5: Barrel
・B6: Peep Hole
・B7: Trepanning
・B8: Undo

- Format: VINYL (12inch), CD

- Label: Castle Face Records (California,US)

 米カリフォルニア州オークランド発ポスト・パンク5人組の2ndフルアルバム。リリースは同じくカリフォルニア州サンフランシスコ出身のガレージ/サイケデリックロックバンド Osees (Thee Oh Sees, Ohsees, The Oh Sees等変名多数)を率いるJohn Dwyer主宰のCastle Face Recordsから。

 アルバム全体を端的に表現するならば "DIE! DIE! DIE!" meets No-Wave。"DIE! DIE! DIE!"初期の、殊にその1stアルバム (録音スティーヴ・アルビニ)が持つむしろハードコア・パンクにこそ接続する制御不可能的性急さという骨組みに、自己の内面を一心に凝視し続けるポスト・パンクの不穏な情動や緊迫がへばりつく。バンドを支えるより寧ろ無邪気に引き連り回したいのだと言わんばかりに突んのめって高回転で駆動し続けるドラムはMatt・Tong (ex: Bloc Party)すら彷彿とさせるが、他ならぬ知性と自制の効いたエモーションを以てドラミングする彼に対して、一方はまるで疲れ果てるまで止まることの出来ない注意欠陥及び多動の幼年期らしさもある。
 不協和が時にユーモラスですらあるNYアンダーグラウンド的抽象が塗り込められた音像、少々強引で明からさま過ぎる程の民族音楽の引用はMUTE (the pop group)やPiano (this heat)のさりげなさではなくSSTやエニグマのバンドと近似する。

 この2ndアルバムのリリースは'16年1月末頃。同年8月には個別のシリアル番号を付与した8曲入りカセットテープ『BROW BEAT』を限定30本程度リリースしたが、そちらは無秩序なまでにフリーキーかつ身体的なビートとフリージャズ・ノイズ等現代音楽的不協和こそが遂にもたらす筈の調和を追求した果て、その残骸かのようにロウで無愛想にささくれ立った音像である。合奏の間隙、向こう岸から冷やかな切れ目を入れるが如く突き刺さるインプロヴァイズのギター・フレージングはJames Chanceのサックスがそのままソリッド・ギターに成り変わったような苛烈さを以て、消耗し屑折れる最後の一瞬へ向け消失点を睨みながら疾走、偏執的にバンドを追い立て続けている

 ヴァイナルは既に売り尽くしたようだが2024年現在、米サンフランシスコのディストリビューター Mildheaven のWebサイトでCDを購入可能。(私はCDを買った。)

・Mildheaven: https://www.midheaven.com/item/naked-lights/on-nature-by-naked-lights
・Bandcamp: https://nakedlights.bandcamp.com/album/on-nature

2024/07/20

Dawnbreed - 『LUXUS (7")』(1998)

Dawnbreed - 『LUXUS (7")』(1998)

・Side A - Astronaut
・Side B - Rollercoaster

Stickfigure Recordings ※(Atlanta, US)
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 ベルリン以南約530 km、ベーブリンゲン。

 第二次世界大戦時、郊外に陸軍演習地と実験場が敷かれたことで結果として多くの非戦闘員が命を、子或いは親を、家を失った。
軍需規格品を手掛けた企業の重要拠点が多く残り、そのためにやがて自動車産業と情報産業が経済活動の中心となっていったこの居心地の悪そうな街において、Dawnbreedというバンドはパンク・ロック・バンドであろうとした。よりによってScreamo / Emoを演奏するバンドとして。

 '98年の本作7インチ『LUXUS』は米アトランタStickfigure Recordingsのレーベル1作目であり、以後、'00年に最終シングルを残してバンドは活動を終える。

 歪で複雑な楽曲構成を従えるギター、硬質だが有機的で、清涼感が無愛想に鼓膜を掠め続けているようなコード・ワーク。絶妙で偏執的ですらあるバランス感覚のサウンドデザインはある意味でドイツ的、"ゲルマン人的"である。

 他方、96年より並行して活動したMonochromeのメンバーは殆どがDawnbreedと同一であったが、以降14年間で5枚のアルバム、数枚のE.P.をリリースすることとなる。


 1998年━━ FugaziEnd Hits』, Forty Nine Hudson『For Weeks At a Time』(Music Fellowship), Four Hundred Yearsの2nd、Envy『From Here to Eternity』, COWPERS『LOST DAYS』, 既に解散していたcaP'n Jazzamerican footballセルフタイトルのE.P.に先行して編集盤を出したのが98年だ。

 翌年99年にはbloodthirsty butchers『未完成』, Yaphet Kotto『The Killer Was In The Government Blankets』, スペインではBCore Discから a room with a view 1st『Addiction of Duplicities』……と続く。
 このように挙げればキリがなく、同国ドイツにおいては結成以来ハードコア・パンク・バンドであった the Notwist が新たな作風で『Shrink』を発表したのがこの祝福されし98年という年であった。('99:木下理樹『TEENAGE LAST』, Syrup16g『Free Throw』……』

 '44年初夏━━秘密の手紙。40年後のアメリカ・ルイビルに顕現する史上最高のパンク・ロック・バンドのその1つは、読まれるはずのなかった近親相姦者の恋文の中で自身に相応しい名を見出し選び取るだろう。認識されざる者、赦されざる全ての魂のために自己破壊と再生を繰り返すことがパンク・ロックのドグマ、奇跡にしてその業である。
 Dischord Recordsとそれに連なる激情ハードコアの系譜。海峡9kmを超えようとも東京がついに獲得することのなかった極寒の抒情。ドイツ前衛、プログレ、クラウト・ロックとノイエ・ドイチェ・ヴェレ。Dawnbreedというバンドはそのいずれにもついに似てなどいなかった。郊外。陸軍基地の暗黙のうち戦争に踏みつけられ、かつて非戦闘員が無惨に死んでいったあの街には、殺人者達が逃げるように押付けていった重工業と産業機械、自動車、その無気質な営みに
宿命づけられたガラクタの沈黙とパンク・ロック以外のものなど決して存在し得なかった。

 東西を20世紀のあとも半永久的に隔てるはずであった壁の崩壊から約1年9ヶ月、Nirvanaが破壊し尽くした境界線のその果て━━インディーロックの預言者の愚かで悲劇的な決定論的自死、大観衆の熱狂を臨む聖丘の上で、鉄の窓帷に包まれ抱き上げられたオルタナティブ・ロックは死産であった。死に続けている。世紀末までの6年間、無名で無限の名盤が生まれ続けたにも関わらず。
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- Dawnbreed - 『LUXUS (7")』
VINYL
Bandcamp (DL)

- Stickfigure Recordings
HP / Release
・Bandcamp (Physical / DL)


 

2024/06/11

Paper Hats - 『TEARING』E.P. (2019)

 Paper Hats - 『TEARING』E.P. (2019)

1. Intervention
2. I Can't Stop Clenching my Jaw
3. Peepin' Thom
4. Miasma
5. Might
(6). (Release on bandcamp includes a untitled track)

- Released June 21, 2019
no funeral records (Ontario, Canada) / NF-016

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 カナダオンタリオのポストパンク・デュオ Paper Hatsの1st E.P.。
フィジカルはハンドメイドペイントのカセット50本のみ、
ディストリビューションは名門no funeral records。

 バンド、レーベルいずれもPost-Punkと第一に銘打っているが、ここにあるのは何よりもNo Waveのアイロニー、気怠さ、不調和と苛烈な気高さである。
 U.S. MapleはじめSKiN GRAFT RecordsDrag City Records系のアヴァン、ディスコーダントなMath Rockをより性急でタイトに、或いはローファイなSkramzを(逆説的だが)弛緩したまま身体的かつRawな音像にしたと言う方が適切だろう。

 ポストプロダクションの作用も最低限に抑えられているためか、剥き出しの骨身なのに無添加で血の通った平熱の安らぎがあり、瞬間と空間ごと真空に、永遠に封された一対のシナプスの交差に瞬くインプロヴィゼーションが爆ぜている。

2024/03/14

(仮)ズ / 『(仮)ズ』 - Released 2013/05/13, Streamed 2020~2023 - 全曲について

 (仮)ズ - 『(仮)ズ』 - Released 2013/05/13 (CDr), Streamed 2020~2023 - 全曲について

1 - 殺してよ
2 - できないのうた
3 - うさぎ、ガラスの中
4 - VHS GIRLFRIEND
5 - コンクリート
6 - プラットフォーム
7 - Fault
8 - Youth Youth Youth
9 - Owari

(仮)ズ - 『(仮)ズ』(S/T) - Released May 13, 2013 (CDr)
Streamed 2020 ~ May, 12, 2023

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1 - 殺してよ

 冒頭4秒━━サウンドチェック。リアPUから出力されるディストーション・ギター、「早く始めろ」と急かさんばかりのスネアが4カウント。リヴァーブを欠いた、しかし存分に暗く重いシューゲイズサウンドでセルフタイトルは遂に始まる。
 遠く響いてくる震えた声から歌詞を正確に聴き取るのは困難だが、そのようなサウンドプロダクションがアルバム全編通して一貫している。時間の制約があるとはいえスタジオアルバムとは録り直しが可能であり、むしろ意図的に聴き取りにくく発音しているのだろう(「綺麗です/僕なんて」または「嫌いです / 僕なんて」と聴こえる)。

 サウンドメイク、タイトル、比較的聞き取りやすい冒頭、明確に聴こえるコーラスセクション直前「頭がおかしいんだ」というリリック。それらから受ける自己嫌悪・内省的印象とは裏腹に、語りかけるような口調があくまで他者或いは聴き手の存在を忘れていない。 

 何より「死ぬ/死にたい」ではなく、自嘲と共に綺麗な貴方に救いを求める「殺してよ」だ。

▶︎Bandcamp - https://kakkokariz.bandcamp.com/album/decay


2 - できないのうた

 抑うつとした救いを乞い願う1曲目と打って変わって、そのギターが生み残していった泥々のカオスの後にバンドはここで激しい躁状態に突入する。音源ではBPM170~180、ライブ版は190~200を行き来するキラーチューン。
 これは音源とライブ版で受ける印象が大分異なるので是非聴き比べて欲しい。

▶︎SoundCloud - https://soundcloud.com/lcding/q9hsc4tcckwm

 絶叫される「君みたいに/なれないや」「できない/できない/できないな/笑って誤魔化しているだけ」の歌詞は、ここでもやはり自暴自棄だけではなく一方で冷静な自嘲をたたえている。

 「美しい/立派な貴方」と「醜くて/駄目な自分」という視点は1曲目と共通するが、ここでは「殺してよ」どころか目の前の「君」を八つ当たりに殺さんばかりの勢いだ。


3 - うさぎ、ガラスの中

 (仮)ズ の中では比較的詞が聴き取りやすい。
 苦しく暴力的ですらあった冒頭2曲と「生まれた時から飼われた、だから野生で生きる術を持たないウサギ」への憐憫が歌われる3曲目。

 「ウサギは/死ぬまで/小屋で生きて」「逃げたら/飢えるだけなんだ」
 躁・鬱に振り回される様を傍観した後、一時だけ我に帰ることを許された狂人がみせる優しさに触れた瞬間のようで、感情が苦しさや怒りだけではない事を思い出させてくれる。
 ……私たちのいる場所は檻の外だと果たして言い切れるのだろうか。

 ラスト、金属メッシュのケージが開く様な音がする。うさぎは帰ってきたのか、それとも今度こそ世界を隔てる透明な壁を破ったのか。

 冒頭からここまで、私がこのアルバムで2番目に好きな部分。

4 - VHS GIRLFRIEND

 I ( ↔︎ II ) ⇒ b III ⇒ V ⇒ IV のベースから始まり、かつ一貫してこの進行で楽曲は完結する。

 “Add 9thで浮遊せずマイナー調で統一した場合の初期ART-SCHOOL的アレンジ”と表現しても差し支えないだろう。強いて挙げればイントロは”UNDER MY SKIN”、コーラス部は”スカーレット”だろうか。

 ここでもやはりリヴァーブの欠けた、しかし重苦しい(仮)ズ的シューゲイズが表現される。
アウトロの残響やFBノイズを聴く限り実はTimeの長いリヴァーブないしディレイが使用されているにも関わらず、ドリーミーだったりウェットな印象は受けない。簡単に思いつく理由としてはDecay(原音からエフェクトが掛かり始めるまでの長さ)のセッティングを長めに取っているか、ディレイペダルを敢えてODペダルの前段に置いているのだろうか。

▶︎Bandcamp - https://kakkokariz.bandcamp.com/track/vhs-girlfriend-version


5 - コンクリート

 幕間或いはインタールード。冬・早朝のコンクリートに触れた時を想起させる冷たいアルペジオ。そんな物に触れるのは歩いていて転んでしまった時、挫かれて足の止まった時くらいだろう。


6 - プラットフォーム

 フェードアウト━━下降していくアルペジオがそのまま上昇するかの様にここへ行き着く。(よくよく聴けば駅のアナウンス音のような組み合わせでアルペジオは構成されている)

 待ち人を急かすようなつんのめったビートを伴ってアナウンスは鳴り続けている。ドアが閉まるまで4, 3, 2, 1。ギターが鳴らす文字通りのサイレンを伴ってメトロは出発した。


7 - Fault

 ……警笛は止んだ。列車は必ず次の駅へ。ではギターは?やはり再び鳴る。ギターロックがギターから始まるのは全く不自然なことじゃない。

 サウンドプロダクションはこの楽曲のみアルバム内で大分異なってハイファイで力強い音……というにはやや異質な、録音の時が・場所が異なる質感の違い。

 基本的にデッドなサウンドに統一されたこのアルバムの中でも全パートがフィジカルを以てのダイナミクスが生きた演奏を聴かせる。
 1曲のみサウンドエンジニアを招いて録音したというのが恐らくこの楽曲と見受けるが、Bandcampの楽曲ページ及び公式HPではその名を確認する事は出来ない。

 (仮)ズは2013年5月13日に解散した。よってそのクレジットが、記名性は、恐らく永遠に失われることだろう。(※追記3)

▶︎Bandcamp - https://kakkokariz.bandcamp.com/track/fault

▶︎HP - https://www3.hp-ez.com/hp/kakkokariz


8 - Youth Youth Youth

 実質的なラストを飾る楽曲。
 切迫して踏みとどまるビート、冷たいアルペジオ。まるで”ロックバンドみたいな音楽”、”ロックバンドなどというもの”を初めて聴いた時の感覚を思い出すかのような━━音数が執拗に詰め込まれているが緩急のついた必死の、ギリギリでカオスに突入しない理性的な━━ギターソロ。

 「君の銃を撃て」……ギターは銃、刃、時に言葉を持たぬブランケットの慈しみかのように鳴る。このギターは額面通り目も眩む光を放つ研ぎ澄まされた刃、体温の感じられない"設計されし"殺戮者・鉄塊としての銃だ。
 弾丸は打ち続けられる。弾が尽きるまで。35分間のアルバムが、楽曲自身のテンションが最高潮に達するのは僅か約50秒間/32小節。

 弾は尽きた。残った硝煙のように不可避的な演奏が続行される。ブレイクダウン、冷却。1コーラスのそっけないリフレイン。

 終わり続けた演奏がついに必然に終わった。


9 - Owari

 この楽曲はリリース・配信されていたのと殆ど同様のものをSoundCloudで聴くことが出来る。そのタイトルは「全部、大切な思い出だから」で、最後の最後にCV : 花澤香菜の声がタイトルを読み上げて終幕する。

 出典は化物語 第十話「なでこスネイク 其ノ貮」か。本編15:09以降、千石撫子が発する一連の台詞から。

▶︎SoundCloud - https://soundcloud.com/kakkokariz/zenbutaisetsunaomoidedakara

 
 
期間限定の再結成を除いて(仮)ズの実質的な活動は1年未満、2017年のごく短期間のバンド再結成を含めても2年とない。(仮)ズは解散した。

 最後に。「コンクリート」から「プラットフォーム」の始まりと終わりまでがこのアルバムの1番好きな部分だ。


| This article was written and published on April 24, 2023. (on Tumblr)

-追記:2024.6.20
1. CDは2013年5月13日に吉祥寺GB(現:
ROCK JOINT GB)で開催された『LEAF STEP FINAL』において9曲入り,¥500でリリースされた。
2. ジャケットのアートワークは当時15STEPONTHELEAFのベーシストであったshamaism氏 (@shamaizm)
(2024年現在はKOVINSのベーシスト) (@kovinsband)
3. ※記事執筆当時リサーチ不足で参照することができなかったが、実際には2024年現在フリーのレコーディングエンジニアであるたりお氏(@tario_)によってレコーディグされた。(https://tarioworks.amebaownd.com/)

2024/01/09

Billy Mahonie - 『What Becomes Before』(2001)

Billy Mahonie - 『What Becomes Before』(2001)

(2001) Billy Mahonie - 『What Becomes Before』
1. Fishing With A Man For A Shark
2. Nacho Steals From Work
3. Dusseldorf
4. Hey Mr. Jukes
5. Keeper's Drive
6. Simple Solutions Seldom Are
7. False Calm
8. Lothe
9. The Day Without End
10. I, Heston
11. Paysted Way
12. A Warning To The Curious
13. Terylene
14. Bres Lore

Released October 1, 2001 - Southern Records (London, UK)

 英ロンドンのポストハードコア/ポストロック/インストゥルメンタルロックバンド・Billy Mahonieの2ndフルアルバム。2001年リリース、Therapy?やBig Blackを擁したSouthern Recordsから。また、このバンドは過去に『Are Matthew, Mark, Luke And John』のTHE JESUS YEARSと共同でスプリットをリリースしている。 

  サウンド及び楽曲にはアメリカ的な乾いたインディーロック,パンクロックとDischord的なハードコアパンクに加えサーフロックのエッセンスが混在しており、とりわけ特徴的なのは楽曲全体を通して展開が"劇的ではないが目まぐるしく変わり続ける"ことで、メインリフ以外のフレーズやビート等を8小節〜16節以上は決して繰り返さないことが徹底されている。

 また、 ポストハードコア/エモやポストロックの系譜のバンドにおいて、とりわけアルペジオ等に顕著である複雑だが曖昧なアンビバレントを両立する特徴的な音感の音階、及びフレーズはこのバンドでは用いられておらず、しかし同じく情緒揺さぶるブルースともやはり異なる独特の情感がBilly Mahonieにはある。

 デジタル・ポストプロダクションでロックミュージックの可能性を押し広げその果てを目指したシカゴ音響派、エモーショナルの表現を現在もなお更新し続けるマイクキンセラ及びそのファミリー、音楽に纏わりつく他の凡ゆる全てと決別したDischord Records。あくまでハードコアパンクを下地にそのいずれとも異なるイギリスのポスト・ロックのスタイルがここに強固に示されている。

 なお現在も活動中のバンドで、特にライブ活動は精力的に行われている。
(最後に余談を簡潔に記すが、2005年リリースのシングル集『Found』はインストのPolvoのような作品なのでこれも聴くと良い)